『ピアノ昔習ってたけど弾けません』になる理由【レッスンを実りあるものにするために気をつけたいこと】

コラム

ピアノといえば習い事の代表ですね。私も5歳〜15歳までピアノ教室に通っていました。

しかし、このブログでおぼえた方がいいとしている音階やコードといった内容は教えてもらわずに終わりました。

結果どうなったかというと『楽譜自体はよめるけど一曲に時間がかかる』『すぐに忘れてしまって以前習った曲を弾けない』という人間ができあがっていました。

正確にいうと音階はしたのですが、教材で音階の部分がでてきて弾く→合格、それで終わりでした。20代後半から再びレッスンに通い、ピアノの仕事についた今ではこう思います。本来であれば音階は、反復して内容をおぼえる必要があることだったんだなあと。

また、『昔習ってたけど、今は弾けません』こんな人も多いのではないのでしょうか。そうなる前段階には

  • 一曲をみるのに時間がかかる
  • 譜読みが苦痛・よくわからない
  • すぐに弾けなくなるし、やっていられない

このような状況が必ずあるはずです。10年間レッスンに通ったけれど、結果そのようになった私と同じ感じです。

そんな私でしたが、音階やコードの知識を身につけると、楽譜・音楽への理解が深まっておどろくほど上達しました。

具体的にはこんな具合です。

  • 譜読みが早くなった
  • たくさんの曲をみることができるようになった
  • 時間をあけてもリカバリーが早い
ゆうふわ
ゆうふわ

まさにピアノを簡単にする魔法のような知識だと思ったんです

同時に、なんで今までの先生たちはこのことを教えてくれなかったんだ…と思いました。

わたしの音楽の仕事の知り合いも同じような経験をしていました。

「エリーゼのためにの左手を小さい頃は必死になっておぼえたのに、コードを知ってから『AmとE7ばっかやん!』ってなって、簡単やん!と思ったわ〜」と語ってくれました。

この記事では『昔習ってたけど、今は弾けません』という人がどうしてうまれてしまうのか、そうならないためには何を気をつけたらいいのか。子供時代の10年間と現在のレッスンの経験から、私なりの解釈でつづっていこうと思います。

ピアノが弾けなくなる理由

まずは、習っていたはずのピアノが弾けなくなっていく理由を考えてみましょう。

そのために、ピアノを習うにあたって必要になってくる知識についてご紹介します。

楽譜を理解するために必要な3つのこと

ピアノの学習にあたって覚えるものは次の3つ、音・リズム・ハーモニーです。

音は音符の読みかた、リズムは音符の長さや拍子、ハーモニーはコードを学習することで身につきます。

ハーモニーとは複数の音をならしてできる響きのことです。

音とリズムおぼえていくと、自分で楽譜が読めるようになり、楽譜をピアノで再現することができるようになります。

そして、ハーモニーを理解していくと楽譜の意味がわかるようになっていくのです。

ピアノの『音・リズム・ハーモニー』をスポーツで例えたら、バスケットボールの『ドリブル・パス・シュート』、野球の『バッティング・キャッチ・スローイング』といったところでしょうか。それ(ピアノであったりバスケであったり、野球であったり)をするために重要となる要素です。

指の練習はそれらの大本のランニングにあたるかな、と思います

ハーモニーの知識を固定する前にピアノをやめてしまう

音の読みや長さは楽譜を読む上では必須です。未就学のお子さんでも習いたてでも、まず音符の読みからならっていきますよね。

語学でいうと『あ』とか『い』とかいった文字をおぼえるようなものです。

それらをおぼえつつ曲をこなしていくことで、音やリズムの知識を身につけます。そして徐々にハーモニーの知識をおぼえこんでいくと3つの要素すべてをカバーできます。

音やリズムの知識だけでも曲は弾けます。曲を弾けるようになって、教材を進めていって…とレッスンも成立します。

しかし、その繰り返しのみのレッスンをうけているだけ、もしくはその段階でやめると『習ってましたけど、今は全然弾けません』という結果になるのです。

無理もないことなのです。先ほどもかきましたが、ハーモニーは楽譜の理解に直結します。ハーモニーを知らないということは、楽譜の意味をわかっていないということになるんですね。

語学にたとえると『単語はよめる(発音できる)けど意味はわからない』という感じです。

音は読めるし、どういうメロディーになるかもわかるけど、ただそれだけなんですね。音楽全体の流れがわかっていないまま弾くことになっているのです。

文章自体の内容がわかっていないと、再び同じ文を前にした時、また単語をひとつずつ確認しなければいけないですよね。昔習った曲が弾けない、というのは音楽でその状況がおきているからです。

わたしも意味を理解せず、音符だけを常にみるレッスンをうけていました。

そのまま進むと、意味がわからないのに楽譜の内容は膨大になっていきます。譜読みにどんどん時間がかかるようになりますので、苦痛になったり面白さが感じられなくなったりしてやめていってしまいます。

ピアノをやめると音符から離れます。読まなくなった文字は読み方を忘れてしまいますので、楽譜がよめなくなって弾けなくなってしまうのです。

そこまでいかなくとも、音符の読みや長さの習得が不十分なままやめてしまう人も多くいますね。

音符を読むだけのレッスンは不十分

わたしは、教材の曲を練習して弾けるようになる、それの繰り返しだけではピアノ学習は不十分だと思っています。

音楽の仕組みそのものを説明してもらい学習して、数学の公式のようにおぼえて、実践するということを繰り返す必要があるのです。よっぽど勘のいい子でないと、曲をこなしていくだけでは仕組みに気づけません。

しかし、そのように導いてもらえない生徒がいます。わたしもそうでした。どうしてかというのを、わたしなりに考えてみました。

理由①ハーモニーの基礎にあたる音階スケールがすごく多い

ハーモニーの基礎的な部分にあたる『調』というものがとにかく多いんです。教本のハノンで出ているだけでも長調短調あわせて24個あります。

そして、調ごとに主要になってくるハーモニーがちがいます。なので、ハ長調で「ドミソ・ドファラ・シファソがよく出てくるな」と気づいたとしても、他の調になると違うハーモニーになるので法則性に気付けるかは微妙なところなのです。(ハ長調だけでも、なんの説明もなく気付ける子は本当に勘のいい子です)

そもそも私は、10年間のレッスンで『シャープ1つのときは絶対ファにつく』ということさえ知りませんでした。調号がつく順番があるということを教わらなかったのです。調号がつくときは「♯(または♭)は何個で、○と△と□の音につくんだな」といつも確認していました。

ひょっとしたら説明してくれた先生もいたのかもしれませんが、一度言われたくらいでは記憶にのこりませんでした。教材に書き込みもありませんでしたし、くり返し言ってくれる先生にもあたりませんでした。

いつ気づいたかというと、ピアノをやめて何年もたった後でした。大学生になって自分で進んでピアノを弾いていたときでした。好きなゲームの曲を簡単な楽譜でたくさん譜読みしていたんです。

その時ようやく「♭3つのときはいつもシミラやな〜。…ひょっとして調号って、つく順番決まってたりする…?」と気づけました

わたしの友人も『♯1つならファにつく』を知らずにいたらしく、説明すると「そうなん?!」といっていました(^^;)

意欲がないと習得するのがむずかしい(根気がいる)

音階の練習は曲を演奏することに比べると、単調な内容を繰り返し弾いておぼえる必要があります。面白味を感じられない人もいます。そういう人にとってはとても根気がいる内容なのです。

おぼえる方に根気がいるということは、教える方にも根気がいります。『そんなことを望んでいない子相手に、音階に時間を割くくらいなら曲をどんどんみる方が楽しいはず』と考える先生なら、くりかえし音階をさせないだろうなと想像できます。

生徒さん側にもそれなりの意欲がないと、どちらにとっても苦しいレッスンになってしまうのです。

もともと譜読みが早くてよく進む生徒さんは、専門的な道に進む可能性があるので必ず教えるでしょうが、そうでない生徒さんにはわざわざ教えない可能性が大きくなります。生徒さん側から希望があればべつですが、時間がかかっても楽譜がよめたり、お手本をまねして覚えられればレッスンは進められるからです。

でも、音階をおぼえてコードをおぼえることで、見違えるほど音楽に魅了される生徒さんもきっとたくさんいるはずです。

ピアノをしたことがない、あるいは習ってたけどハーモニーの内容を習わなかった親御さんであれば『何を教えてもらったらいいのか』ということがわからないのも当然です。

きちんとどうなりたいか・どうしたいかをヒアリングしてくれる先生ならいいですが、先生の判断だけで進める方であれば見極めはむずかしいと思います。わたしも普段のレッスン進度を見て除外されたのかな、と振り返ると感じます。

理由②先生がライフステージにあわせていなくなってしまう

また、ピアノの先生は女性の方が多いので、結婚や出産、パートナーの転勤などで担当の先生が変わることがよくあります。

わたしは10年で4人の先生にならいました。すべて先生側の都合で変わっていきました

以前はどんなことをレッスンで教えていたか、生徒さんがどこまで理解しているかを、次の先生はある程度しか把握できません。

それに加えて、先生によって教える方向性や、大事だと考えることは違うものです。

先生が変わる度に方向性が違うレッスンをうけていては、習っていたけど自分だけでは弾けないという結果になってしまうかもしれません。

ですから、「先生はどのようなことを大切にしてレッスンをしていますか」と質問しておいたり、「こういったことは教えて欲しい、レッスンに組み込んで欲しい」と生徒さん側から伝えるといいと思います。

代表として教室を構えている先生は変わることがないと思うので、代表になっている先生にレッスンをうけるのもひとつの手です。

『ピアノのレッスン』と一口にいっても、した方がいいことは山ほどあります。指の練習、曲の練習、コード、ソルフェージュ、初見などなど。

どれもこれもはさすがに盛り込めませんが、何を習う必要があるか状況に応じたり、どういう目的でピアノを習っているのか考えて先生とご相談されたりすると、実りのあるレッスンになるのではないのでしょうか。

音楽にふれて楽しめればいいのか、やめた後でも弾けるようになっていたいのか、専門的な道に進みたいのか、自分は習うことでどうなりたいのかというのをたまに考えると良いと思います。

【さいごに】音楽とは『音を楽しむ』ものなので、それでいいならば構わない

ここまで色々申し上げましたが、もちろん音楽は楽しむものです。音の読み・長さをおぼえれば、ハーモニーがわからなくても楽譜はよめます。もし楽譜のよみが不十分でも、お手本をマネして動きやメロディーをおぼえるだけでも音楽は再現できます。それでも十分楽しいです(^^)

わたしは音符をすぐに判断できない人でした。しかし、コードを覚えることで一曲仕上げるのにかかる時間が減りました。すごく楽しいんですよ。今まであんなに時間がかかったのに、こんなにすぐみれた〜(°▽°)と自分の成長も感じます。

すると、楽しさも相まって多くの楽譜にふれるようになりました。そうすると、結果的に音符を読むのがはやくなったんです。

楽譜をみたりメロディーや動きをおぼえて、自分で弾きたい曲がひければそれでいい!と思うのに無理に『法則性を理解しろ、コードをおぼえろ』などというつもりはありません。

しかし、習ってるけどいつも譜読みがくるしい。難しい曲もみてきたはずなのに、簡単な曲も時間がかかる。たくさんの曲を弾きこなしたいのにできない。もっと簡単に弾けないのかな…と思う方は、音階やコードといったハーモニーの知識を取り入れるいいのではないか、と思います。

時間も労力もある程度かかりますが、見返りはおおきいです!

自分の望みに応じた勉強をしてみてください(^^)

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